7月10日の出来事。
ミラノのサルトリア河合さんから、はじめての納品がありました。
河合さんいわく、Lovely textureな模様が入った、ツイードのジャケット。色は、サーモンピンク。
決して自分では選ばなかったであろう生地を河合さんとの対話から選択し、1年4ヶ月の時を経て僕の手元にやってきました。
袖を通してみると、軽い。まるでシャツを着ているかのような軽やかさで、それは肩パットがないこと、またゆとりを持ってつくっているからではないか、とのこと。
「コスタのほうが攻めていると思います」
攻めているの意味を聞いてみると、サイズをタイトにつくってあるとのこと。なるほど、確かにコスタのほうが身体のラインにフィットしているように思います。
とはいえ、河合さんのつくったジャケットは、緩やかではあるけれども見た目はシュッとしています。
中縫いの時、鏡の前でのやり取りを通じ、そういうふうに仕立ててくれたのだな、と思い出します。少し指で摘んだ程度の違いなのに、見た目はこんなに大きな違いになるのかと驚いたことを思い出しました。
納品時は、大山さんの仮縫いや島田さん生地選びの間もずっと着ていたほど。
よほどうれしかったのだろうと自分事ではありますが、伝わってきます。
我慢できず、博多から新大阪へ向かう新幹線の中でも、空調が利いているからと着用して自撮り。そして誰かに伝えたいからと、PAPA PAZZO STRONZO、通称クレパパのコミュニティに投稿。
すると島田さんが返信くれまして、気持ちわかります、と。
世界で一着しか無いジャケットが、1年4ヶ月かけてやってきて、そしてこのジャケットは僕と一緒に年月を重ねていく。
そう考えると、笑みがこぼれてきます。
生涯のパートナーがやってきた、と言ってはいいすぎでしょうか。
オーダーであっても、ハンドメイドかマシンメイド、フルオーダーかパターンオーダーか、期間の違いはあっても、生地が生まれてそれを選び、仕立てられていくという行程そのものはそう変わりません。
なぜだろう、と考えてみたところ、一本のメールにその違いを生み出すキッカケがありそうです。
先週はお忙しいところわざわざお越しいただきまして誠にありがとうございました。
一生付き合っていただけるジャケットを精一杯作ってまいりますので今後ともよろしくお願い申し上げます。
今回ご注文いただきましたツイードの生地はスコットランドのエジンバラからさらに70㎞ほど行ったところにある小さな機屋からやってまいります。
ツイードの生地はほかにもいろいろ扱っているメーカーがあるのですがココは昔ながらの風合いを残しながら作っている機屋なので私もお客様にお勧めしています。
昔ながらのツイードは最初はガシガシしていますが着ていくほどにしなやかになってきます。
是非次回の仮縫いをお楽しみになさっておいてください。
生地にもこんなストーリーがありまして、それが一層ジャケットの物語性を高めてくれます。
長男次男に聞かせたい、そんなストーリーです。
エジンバラから70キロにある小さな機屋が生み出すエネルギー、生地からあふれるエネルギー、河合さんの美学というエネルギーを凝縮して仕上がったツイードのジャケットをまとう。
エネルギーが満ちるのは、気のせいではないのだと思います、たぶん。
P.S.
写真は島田さんが撮ってくれたものを拝借。
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