成果報酬のワナ

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今となってはいい勉強になったと思っているものの…

当時の僕は内心かなり穏やかではなかった取引があります。それは成果報酬という甘えがもたらした時給0円という結果。効果が出たのかどうかも知らないまま、そして効果が出るようにリサーチもせず手も打たないまま、僕が成果報酬で受けてしまったことに問題の根源があります。あなたは僕と同じことをせぬよう、ご注意ください。

まずはじめにお伝えしておきますが、現在、僕は成果報酬での仕事は基本的にしません(注:ライティング単発依頼の場合です。プロジェクト型の仕事は着手金+成果報酬で取り組んでいます)。基本的に、というのは必ずしもしないわけではないからです。相手次第です。相手が条件を満たす場合のみ、成果報酬での取引にも応じるように切り替えました。

元々僕は成果報酬での取引はいいものだと思っていました。成果に対する責任を負うし、成果が出なければ報酬は出ない。だから真剣に考える。いいコトづくしじゃないかと。

しかし、見逃していたことがありました。コレを発見できたことが、最高の教訓です。では、いきます。

2013年の3月頃だったと思いますが、ある複数のお客さんから、成果報酬でやらないか、と相談をもちかけられました。当時の僕は、特に仕事を引き受けていたわけではないですし、スキルにフォーカスという意味ではセールスレターを数多く書く環境を望んでいたため、2つ返事で引き受けました。正直、報酬は度外視してしました。タダでもいいと思っていたんです。スキルアップできるのであれば(正直、仕事の内容は面白かったのです)。

それで、実際に複数仕事をしてみたところ、セールスライティングだけではお客さんに成果を約束することはできないことに気付きました。かなり早かったです、気付くのは。それはなぜかというと、

ダン・ケネディの言葉を引用しますが、ダイレクトメールにおいて(拡大解釈してダイレクトマーケティングと僕は捉えています)大事なのは、リスト、オファー、最大許容コスト、そしてコピーの順だと言っています。コレはまさにそのとおりで、4番目に位置するコピーだけどんなにいいモノを書いても成果を出すことはできないんですね(ダイレクトマーケティングで成果を出しているお客さんは、リストこそ命であることはよくご存じです。だからこそ、メルマガやダイレクトメールを駆使してリレーションづくりに力を注ぐわけです)。

じゃあ、リスト獲得からリレーションづくり、そしてオファーの見当とコストの算出まで僕ができるかというと、お客さんにその覚悟がないとできません。覚悟、すなわちリスクを負うということ。

つまり、お客さん次第で「僕の」成果報酬が成功するかどうか決まるということです。

例えば、あるお客さんがクライアントさんのために成果報酬で引き受けたダイレクトメールの案件があったのですが、

リサーチをした結果、リストはどうなっているのか、リレーションはどうなのか、オファーはどこまでいけるのか、コストはどこまで負担できるのかをそのお客さんに確認したところ、オファーに関してはわかり易い回答をいただけましたが、他に関してはちょっとウヤムヤだったと思います。たぶん、お客さんもそのクライアントさんそこまで考えていなかったんですね。

ちょっとビックリしたのは、競合の調査ができていなかったことです。コレもよくあることなのでそんなには気にしていませんでしたが、最初は「競合調査はできている」と聞いていたので、話が違うな、と。そういう意味でのビックリ、ということです。

最終的に納品をしたものの、結局そのダイレクトメールセット(3本セットだったと思います)は使われることなく、この案件は終わりました。なんでもクライアントさん側で使えなくなった事情が発生したとのこと。会社ですから、そういうこともあるでしょうが・・・結構愕然としました。本当にクライアントのさん経営状況は大丈夫なのか、何度かお客さんに確認してきたので。

結局のところ、僕の見方が甘かったことが間違いの始まりなのですが、成果報酬という言葉がもたらす甘えを知っておく必要があります。

それは、「誰もリスクを背負う必要がない」ということです。

売上が発生しなければ報酬を払う必要もないですし、経費だって使いたくないなら、使えないといえばいいわけですから、たまたま売上が発生したらラッキーくらいの気持ちでやるお客さんて結構いるんじゃないかなって思います。

僕は異業種交流会に行って業務提携をしたことがないのでわかりませんが・・・どうなんでしょう・・・リストを使わせてくださいとか、そういう方々が参加する率が高いと聞きましたが、だったらなおさら、成果報酬の提案は双方にとって魅力的に映りそうです。

しかし、「秒速で億を売る」なんてことが厳密に考えたらあり得ないように(サービスや商品を作る時間がないとセールスできませんから)、甘くて魅力的な言葉にはワナが隠されています。

リスクを背負わないビジネスなんて普通に考えたら、ない。だから、成果報酬をやるならリスクを背負える人でないとダメということです。間違っても「売り上げられなかったら報酬はゼロですし、リスクありませんよね」という営業トークを使う相手と、僕は成果報酬で仕事をしません。

参考までに、僕が相手のどこを見ているか、以前まとめたレポートから抜粋して共有しますね。

*締切をきちんと設けるタイプか?
(お任せします~というタイプなら、ご注意ください。こういう方は、後々あなたのスケジュールを無視して納期設定してきます。せめて、ご都合をお聞かせください、という言葉を話す相手ならなんとか。しかし普通は、◯月◯日はいかがですか、と日時まで指定してくるタイプと組むべきです。締切を決められない人とはビジネスをすべきではありません。)

*具体的なアクションプランを実行レベルにまで時系列に落とし込んで話をするタイプか?
(コレは社長であってもできない人が多いです。マーケターやコンサルタントにも注意してください。もしコレができない人と成果報酬でやるなら、あなたの取り分比率を多くすべきです。あなたの作業量が増えるのは目に見えていますし、あなたの働き無しに売り上げられることはないと思いますので。)

*その業界や分野に関して知識があるタイプか?
(少なくともコピーライターよりあるかどうかがポイントです。成果報酬ということは責任分担をするわけですから、リサーチやターゲット設定、基本的なプロモーションを考えるなどはそのお客さんに任せたほうがいいと思います。しかしもし知識や実績がないなら、やはりあなたの取り分比率を高くする、着手金を設けるなどして対応すべきでしょう。)

*勉強熱心は当然、実戦で試すタイプか?
(一般的なマーケティングとか経営の話はもっともらしいけれど、実績が出てこなかったら一般論しか知らない可能性もありますから、注意した方がいいでしょう。)

*約束を守るタイプか?
(時間を守るかどうかがもっともカンタンに判断できるポイントかもしれません。口約束でもちゃんと覚えているかどうか、そして守れるか、見極めてみてください。)

コレもダン・ケネディがNO B.S. Marketing Letterの2014年10月号で話していましたが、「一連のプロモーションをやろうと思ったら、半年とか1年はフルタイムでこの仕事をする必要がある」、一部言葉を変えていますが、まさに、です。

だから、条件が整っていないお客さんに対して成果報酬で業務提携を持ちかけても、結局お金になるのは随分先だと思いますし、お金になれば幸運でしょう。しかし、そこまで体力が持ちません。時間的にも、金銭的にも。せめて基本給プラス成果報酬とか、そういう形態でないと厳しい。

だから「短期的に」成果報酬で仕事を受けようとするなら、

*ダイレクトマーケティングを実践していること(リスト・オファー・コスト!の大切さを知っている)

*目標売上に対して責任を負うということ

*上記5つのポイントから、ビジネスパーソンとして信頼できるということ

これらを見極め、相手を選ぶことをオススメします。

あなたにとっても、お客さんにとっても。WIN-WINの関係であるために。

次章は、スーパーなマーケターとの出会い、です。

アプレンティス受講生の方から紹介されたお客さんの
マーケティング力にビビった話です。

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