実は、これらの公式が初めから手紙を書くための手引きとして考えられたかどうかについては疑問だと私は思っている。後から考えられた説明ではないのか、と。つまり、成功したダイレクトメールを研究した人々が、重要であると判明した要素を“その後”公式と定めたのではないか、と考えているのだ。
−『セールスレターの成功技術』ドレイトン・バード著/ダイレクト出版社刊
我が意を得たりと思わずお手洗いの中でつぶやいたのが今日紹介する一節。『セールスレターの成功技術』より、ドレイトン・バードの言葉です。
僕自身、心理テクニックとか心理トリガーとか、心理学とか脳科学とかが好きで好きでニヤけてくるほどなのですが、それよりも先に学んだほうがいいことはあるだろうとセールスライティングの講座やセミナーでは、心理テクニックとか心理トリガーは自分の経験を思い出してみれば「ああ、あれか」となるのだから、それよりも人そのものを知ったほうがいいと思いますよ、という話をしています。
例えばですが、スーパーマーケットの食品売り場に行くと、試食のコーナーがあります。試食って何であんなに美味しいんだと今思い出してもニコニコしてくるのですが、個人的には試食コーナーに売り子さんがいなければ最高だと思うんですよね。
だっていなければ、「買わなきゃ」という思いに駆られることがないからです。ええ、小心者なんです。。。
しかし売り子さんがいない試食コーナーというのはお店にしてみたら美味しくない。なぜならば、コレはお店の人に確認したわけではないですけれど、買ってもらうことを前提にして試食を勧めているからです。
いわゆる、「返報性の原理」が働くわけですね。返報性の原理のほかは・・・
「おひとつどうぞ」
「はい、いただきます」
「美味しいですか?」
「はい、美味しいです」
「もう一つ、別の柚子胡椒味もあるんですよ」
「はい、いただきます」
「こちらもお味はいかがですか?」
「はい、美味しいです」
「ふたつとも、お夕飯のおかずに活躍しますよ、どうぞ」
「はい、ありがとうございます」
「こちらのお肉がよく合うんですよ、やっぱり和牛ですよね」
「はい、いただきます」
・・・こんな感じで、コレは返報性の原理をスパイスに「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」が効いています。「一貫性の原理」ですね。さらに上記をアレンジすると
「ふたつとも、お夕飯のおかずに活躍しますよ、どうぞ」
「え・・・でも僕、自炊しないので、、、」
「では、おひとつだけでもどうぞ」
「え、、、まあ、、、はい、いただきます」
・・・コレは、「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」。ん、なんだか、無理矢理感がありますが。
こう心理技術の言葉を出してみると、なるほど、となりますが、エピソードを見るだけでも、あ、そんな経験したことある、ってなるじゃないですか(ならなかったら僕の表現がよろしくないのかと、、、)。
だから僕らは普段から、そういうことを経験しているわけです。上記はわかりやすい例かもしれませんが、セールスレターでレジを鳴らすために必要なことは、人を知っていることであり、心理技術ではありません。
そもそも人を知らなければ(自分を含めてですね)、心理技術を学んでも、「へー」で終わるのではないかと僕は考えています。
人を知る。そのためにどういう行動をするかが僕は大切だと考えています。
公式はあと付けなんじゃないか、というドレイトン・バードのセリフに、頷いた次第です。
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