昨日の続き。勝敗を分けた3つの場面。

ビート・ザ・コントロール
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今日はベストパフォーマーズにスタッフ参加。高校球児がどれだけカラダを機能的に鍛えているかに目が行くのは、ベストパフォーマーズの影響かもしれません。

昨日の近江高校対金足農業高校の試合は、金足農業のサヨナラ勝ちでした。ノーアウト満塁からの2ランスクイズ。2ランスクイズ、の名称をすっかり失念しておりまして、父が「2ランスクイズだったんだって?」と聞いてきてくれたおかげで思い出すことができました。

バントで転がった球を捕球すると3塁ランナーをホームで刺すことはできないと判断し、サードはファーストへボールを送球。

サードがボールを捕球するとき、すでに2塁ランナーは3塁を蹴っており、ファーストは即座にバックホーム。

結果はセーフで、1本のバントで2点が入り、2ランスクイズ成功。3対2で金足農業が勝ちました。

5回表のバント失敗による故意のワンバウンド捕球からのダブルプレーが、最終回のサヨナラ勝ちを引き寄せたという因果関係はありませんが、それでも僕が観戦する限り3つほど、勝敗を分けた場面があると思っています。

1つは、その5回表のバントの場面。2つ目は、2ランスクイズの場面。そして3つ目は、金足農業が1点とって同点に追いついたときのグラブトスの場面です。

5回表のバントについては昨日書いたので、今日は残りの2つを。

2ランスクイズの場面。1点は仕方がないとしても、2点目はもったいなかったと感じました。なぜなら、サードがバントされたボールを捕球するとき、すでに2塁ランナーは3塁を蹴っていたからです。

2塁ランナーをアウトにできたかどうかはさておき、3塁を目視して確認するか、キャッチャーが「サード!」と指示すれば、あのワンプレーで2点目が入ることは防げたと感じています。

スクイズの場合、ホームに突入するランナーをアウトにし、その後でファーストに送球してバッターをアウトにすることは、野球をやっている人であれば小学校の頃から行う動作だと思います。

3塁と2塁にランナーを置いている場合、いわゆる2ランスクイズを警戒してプレーすることもまた、普通の動作です。

スクイズを警戒し、内野の守備は前進気味になりますから、ランナーは通常守備位置に比べるとリードを取りやすくなります(一応私見ですが)。だから2塁ランナーもホームに突入することは、想定できたことです。

しかしあの場面では、甲子園という舞台がそうさせるのか、金足農業の気迫がそうさせるのか、会場全体の雰囲気がそうさせるのか、僕の目から見る限り、近江高校は2塁ランナーを警戒していなかったように感じます。

もちろん、すばやくファーストに送球し、バッターをアウトにしたあとで2塁ランナーを刺すことができる、という判断もあったかもしれませんし、ファーストからキャッチャーへの送球を見る限り、ファーストはバックホームの準備ができていました。狙い通りだったのかもしれません。

ファーストでのアウトが先か、2塁ランナーをホームに進めないことが先か。

サヨナラの場面では、後者を優先させるべきだと思うのです。

落ち着き、細やかさ、何と言っていいかわかりませんが、あの場面に欠けていたのはそういうものだと思います。

3つ目のグラブトス。これもスクイズの場面でした。

タイミング的にはアウトだったのですが、ピッチャーがグラブトスに失敗したんですね。

リプレイを見ると、ボールから目が離れていてキャッチャーを見ている。気持ちはわかりますが、ボールを見るという野球の基本が大切なシーンだったと思います。

もう一つ恐縮ながら感じたのは、あの場面はグラブトスよりも利き手である素手でトスしにいったほうが確実だったのではないか、ということです。

グラブトスの練習もしているのかもしれませんが、素手でトスするよりも確実性はないと僕は感じています。昔話になりますが、僕が野球をやっていた頃は、グラブトスすると監督から怒られたものです。エラい厳しい監督だったので、常に両手キャッチ。逆シングルなどもってのほかで、グラブトスという選択はありませんでした。

今でこそワンハンドキャッチ、逆シングルもグラブトスも練習をしていると聞きますが、極限の場面で生きるのは、普段から何万回と繰り返してきた動作なんだと僕は思います。

甲子園に出たことのない、高校ではレギュラーにもなれず、肩を痛めて高校2年で野球部を退部した僕の、想像による感想ではありますが、この試合を見たあとに日誌に記したことは、神は細部に宿るを見た、という言葉です。

思考や行動の基準値を高め、それらを無意識でもできるように習慣化する。

そんなことを学ばせてもらいました。両校の選手たちには、感謝です。

P.S.
ピッチャーが左利きだから、2塁ランナーが3塁を回ることまでチェックしづらいだろう、と考えての2ランスクイズだったとしたら、しびれますね。

P.P.S.

新聞を読んだところ、2ランスクイズの場面でバッターは、サードに捕球させることだけを考えていたそうです。サードに転がせばサードは背中を2塁ランナーに向けるので、2ランスクイズが成功すると考えた。2塁ランナーは俊足で、ただ一人2ランスクイズの練習をしていたのだとか。自分の特徴を知り、活かすために練習する。チームメンバーの特徴を知り、それを活かす。なんというか、神は細部に宿る、ですね。

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コメント

  1. いた より:

    菊池君は、「三塁へ転がったらいくと決めていた。転がった瞬間、あ、いけるなと思って、あとはベースだけ見て走った。」とコメントしてます。

    迷いがないのは強いですね。

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