家に戻ってくると横浜高校対花咲徳栄高校の試合がやっておりまして、試合終了まで観戦していました。
9回裏の花咲徳栄高校の攻撃は、ワンナウト満塁、バッターは4番でこの日本塁打を打っている野村くん。対するピッチャーは横浜高校の3番手で背番号11番の2年生黒須くん。
9回裏の雰囲気のせいか、8回裏の投球に比べると制球が定まらない黒須くんは、デッドボールやフォアボールで自ら満塁のピンチをつくる。
9番バッターからはじまり、山場が来るとしたら4番バッターに回ったときかなと感じていましたが、本当に4番バッターまで回ってくると、なんとも言えない気持ちになります。
緊張感が伝わるというか。
特にピッチャーの場合、満塁で次のバッターを迎えるということは、フォアボールでもデッドボールでも1点を献上してしまいます。
4点差とは言え、高校野球の4点差とは流れが来るとあっという間に逆転されるもの。打席に迎えたバッターは1回戦でもホームランを打っていて、この試合でもホームランを打っている野村くんですから、黒須くんの緊張感はテレビ越しにも伝わってくるようです。
しかしスゴイな、と思ったのは、2年生の黒須くんにそのまま任せている監督の采配。ほかにもまだピッチャーはいるでしょうし、交代の選択肢はあったでしょう。
ストライクが入らなくなった時点で代えるんじゃないかな、と思いきや、そのまま続投。
野村くんとの勝負は内角高めの速球で内野ゴロに抑えたものの、一塁への送球とヘッドスライディングの判定は野村くんの気迫が上回ったのかセーフ。花咲徳栄高校は1点を返し、3点差に迫りました。
結果的に、もう一点取られて最後は横浜高校が8対6で勝利を手にするのですが、とてもいい学びがあったと思っています。
まだまだ先を見ている高校、甲子園で優勝を見据えている高校の采配というのは、勝つためにやっているんだな、ということと、選手の成長を考えているんだろうな、ということです。
コレは私見なのですが、3年生に任せる采配もありますし、それはそれでありだと思います。しかし優勝を考えた場合、この先も9回裏で満塁のピンチなどやってくるでしょうし、ここを2年生の黒須くんが乗り越えたというのは、経験として生きると感じました。
仕事をするうえでも、これまで付き合いのあった取引先がなくなったり、取引額が減少したりといったことはありますし、自分の力でどうにかできるようなものでもなかったりします。
仕事、ビジネスというのは常に相手があってのものですから、相手の動向、環境の変化はこちらにはどうにもならないこともあるでしょう。
しかし、いわゆるピンチの状況になったとき、その状況をどう捉えてどう乗り越えていくかは、自分自身でどうにかなるものです。
取引先に取引増を提案するのもいいですし、紹介をお願いするのもいいでしょう。また、既存のサービスを新しいお客さんに提案することもできるでしょう。
ピンチなど来ないほうがいいですし、そういうふうに経営することが大切だと常々思っています。
しかし一方で、今目の前にある状況がよろしくないとしたら、そこはグッと落ち着いて、冷静に考え、乗り越えていく。
こういう経験をすること自体はうれしいものではないですが、したらしたでいい経験になります。
同じようなピンチを迎えている経営者に、身をもってアドバイスできますから。
横浜高校の黒須くんのピッチングは、9回裏はストライクが入らずにハラハラしてしまいまして、一方で花咲徳栄高校の気迫もなかなかのものでしたから、応援したくなりました。
しかしこれはスゴイな、と思ったのは、デッドボールを出してもフォアボールを出しても、バッターにカラダを当てられにいっても、自分の持ち味である内角高めの速球にこだわったこと。
あんなに当てていたら外角を投げたくなるものですが、ずっと内角で勝負していたんですよね。
指示するキャッチャーの度胸と信頼感もさることながら、満員の観衆と炎天下の甲子園という舞台でも、持ち味を発揮し続けた黒須くんのピッチングは、エラい勇気づけられるものでした。
いい試合を、ありがとうございます。
P.S.
写真は名古屋の栄で撮った一枚。花咲徳栄高校の栄つながりで。
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