チョクマンヤック! サフランボル・ヒューマン体験。

一人旅のススメ
この記事は約6分で読めます。

再び、フスヌの店に行こうとすると。

「君のつけているトルコ石は、俺の親父の店なんだよ。」
「へー。これ気に入っちゃって。」
「そうだろう。ところで、シルバーはどうだい?」
「トルコ石のあるの?」
「もちろんだよ。どうぞ。おーい、チャイ2つ!」

すると、昨日のチャイ屋のおじさんが片言の日本語を
しゃべりながら登場。で、ちょっと歓談後、
店に戻っていく。

「このシルバーって、本物?」
「ああ。ここに純度が書いてあるだろ?」
「これ、なかなかいいな。買ってくよ。」
「ありがとう。ところでこれなんかどうだい?・・・」

親子そろって、商売上手だなぁ。

そして、再びフスヌの店へ。

「セラーム アレイクム」
「???」
「セラームアレイクムといったら、アレイクムセラームと
返すんだ。わかったか?セラームアレイクム!」
「アレイクム セラーム。」
「よしよし。まぁ、チャイでも飲んでいけ。」

「ところで、お前にババはいるのか?」
「ババ?」
「ババだ。タカの首につけてあるシルバーは、
俺の息子の店で買ったものだな。俺はその息子のババだ。」
「ああ。父さんのことね。」
「そうだ。タカの親父にこれを持っていきなさい。」

と言って、タバコケースを私に渡す。

「まさか、くれるの?」
「タカには特別だ。20ミルヨンに負けてやる。」

その後、母さんにも買ってけ、といってさらなる出費。

サフランボルの方は、一見商売上手なように見えますが、
彼らと付き合ってみると、自分の店の商品をお土産に買ってもらう
ことに、客人をもてなす気持ちを感じることができるのですね。

自分が作ったものを持って帰ってもらうこと。
ある意味、自分のことを忘れるな。俺も忘れないぞ。
という気持ちがあふれているような気がします。

実際、フスヌの店でチャイを6杯くらいと2品のプレゼントを
もらいました。本物のトルコ石のものを。
そして、フスヌが食事を分けてくれました。
キョフテというハンバーグが入ったサンドイッチ!
これが今まで食べたトルコ料理の中でもピカイチ!
フスヌが「チョクギュゼル」と言って、食べる姿が
本当においしそうで、だから自分もおいしく感じたのかなぁ。

「イスタンブルに行く前に、ここに寄って行きなさい。」
「わかった。ありがとう。」

といって、その店を離れ、しばらく散歩。

19時くらいに、フスヌの店を覗いてみることに。
店じまいが進んでいる中、フスヌが店先でうとうとしている。

「俺を待っててくれてるんだな。」

胸がちょっと熱くなり、セラームアレイクム、
と挨拶。すると、フスヌが満足そうにアレイクムセラームと
返答。

約束していた、日本のタバコ(実はマルボロなのですが。)を
渡すと、満足そうに、
「ジャポンャ シガラ」
と言って、満面の微笑。かっこいいんだな。これが。

「イスタンブルはものが高いし、危険だから、
気をつけなさい。」
「わかった。ありがとう。またね!」
「うっかり寝過ごしたら、またきなさい。」

ちょっと寂しさを感じながら、サフランボルの夕焼けの
景色をみに、丘を登っていくと。

「日本人?」
「そうだよ。」
「どこ行くの?」
「サフランボルを上から見ようと思って。」
「一緒に行っていい?」

ここで、ファチフ・ハッサン・フセイン・アポと出会います。

オノタカマサ
オノタカマサ

この写真、左の少年はファチフ、という名前なのですが、右手にメモ帳とペンを持っていますよね。コレ、僕と英語で筆談をするためのツールなんです。僕は彼らからエルトゥールル号のこと、イラン・イラク戦争で恩返しをしてくれたこと、露土戦争と日露戦争の相関関係を聞き、歴史を学びました。僕の、先生ですね。ちなみにアポはこの写真にはまだ写っていません、、、

景色を見ながら話をしていると、
私を気に入ったらしく、自分の店でチャイを飲んでいって、
ついでにトルコ対マケドニアのサッカーを見ようという。

お言葉に甘えて、彼らについていくことに。

「でもさ、俺バスが24時発なんだよ。
間に合うかなぁ?」
「俺たちに任せておけ!」

彼らは、16歳の少年。
ファチフの店はチャイ屋で、彼は店の手伝いをしているのです。

私が英語の聞き取りが苦手なことを知ると、
どこからか紙を持ってきて、筆談。
彼らが私のことをよく知りたい!という気持ちが伝わってきて、
感動しました。

アポという少年は、英語が苦手なようで、
トルコ語で私に話しかけてきます。
で、チョクマイナ!と連呼。

「チョクマイナ!ってなに?」
「最高って意味だよ。」

で、チョクマイナ!と私も連呼!
アポも大喜びで大合唱。

で、ファチフと会話。

「将来俺は、英語の先生になりたいんだ。」
「なら、日本に来て、俺の塾で英語とトルコ語を教えてよ。」
「でも、トルコは経済的に問題を抱えているから、それは難しい。」
「そうか。なら、いつか俺の生徒をここに連れてきたいな?」

ここでは子供たちは店の手伝いをしているせいか、
国の経済事情にも詳しい。

時間が来たので、バストンジュに戻り荷物を持ち、
涼子さんに別れを告げる。
ファチフらを引き連れてきたので、みな少々ビックリ。

涼子さんは時折なぜか見せる、寂しそうな表情が印象的な、
エネルギッシュな女性でした。
負けず嫌いで、元気いっぱいの日本人女性。
異国を旅している素敵な日本人。結構、かっこいいですよ!
きっとまたどこかで出会いそう、というか、
塾を作ったら、彼女にも来てもらいたいな。

ミニバスに乗って、ファチフたちとオトガル(バスターミナル)へ。
彼らがどうしても、というのでバス代を出してもらい、
なおかつひまわりの種、もおごってもらう。

彼らは惚れ込んだ客人にはとことん誠意を尽くします。
年齢は関係なく。真剣に。
彼らのまなざしからは、熱いメッセージを感じました。

別れ際、ハッサンとフセインがプレゼントを。
自分がつけていた、邪視除けの首飾りと、4人の名前入りの帽子。

もう、たまらないです。

彼らに見送られながら、バスが出発していきます。
バスの中での自分は周りの乗客から見ると、
かなり目立っていたのだけれど、
サフランボルの少年たちと友人になれて、
それがとてもうれしくて、彼らにいつまでも手を振っていました。
隣の席のトルコ人のまなざしがとても優しくて、うれしかったなぁ。

バスは、いよいよイスタンブルへ。
彼らのメッセージを胸に抱いて、トルコ最終地を目指します。

「We never forget you!
Taka! See you again!」

オノタカマサ
オノタカマサ

後日談です。この数年後になるのかな、僕の妹がユスフやファチフたちとの写真を持って、サフランボルを訪れました。帰国後に妹は、「お兄ちゃん、ユスフがチュッチュッしてくるから大変だったよ」と、、、ファチフたちにも会ったっぽいのですが、「彼らも女好きのトルコ人になっていたよ」と言うので、、、いや、それでいいんだよ、男なんだから笑笑

コメント

タイトルとURLをコピーしました