チェックアウトの為、早起きすると、
管理人さんがあわただしく朝食の準備中。
「用意しておきましたので、食べていって
下さいね。」
「お世話になりました。」
夫婦でゴルフかなんかに行くようで、
私が部屋で洗面をしている間に、
出かけていってしまいました。
で、いつものようにカンタロウとご飯。
ゲスト帳に、
「アットホームって、定義が難しいですね。」
と書き残して、荷物を背負って出発。
ブリュッセル中央駅で、
アムステルダム・スキポール空港への列車の時間を
確認して、ケイタとの待ち合わせ場所へ。
そして、ケイタお勧めのイタリアンに行きます。
「高校のときはさ、悪さをしているのがかっこいいような
気がしていて・・・。」
「結構聞く話だよね。」
「でさ、俺のせいで先生が胃潰瘍で入院しちゃったんだよ。」
「それは、熱い話だな。」
「結局一年くらい入院していたんだけど、
卒業式のときにメッセージくれて。卒業できて、良かった。
って。それだけなんだけどさ。」
「いい話じゃない。」
「先生が入院しているときに、いろいろ考えたんだよ。
俺、すごく周りに寄りかかっていないか?迷惑かけて
いないかって?」
「ふんふん。」
「それで、このままじゃマズイ、と思って3年生になってからは
学校に行きだしたんだよ。」
「普通に学校に行ってただけなんだけど、
それが居心地良くてさ。クラスのやつと話したりするだけで、
本当に普通のことなんだけど、ああ、俺って、こんな風に
普通に生活したかったんだって。素の自分って、
こうだよな、って気が付いて。」
「なんだよ、しみじみしているな。」
「いいんだよ。本当のことなんだから。
でさ、ミノに電話したんだよ。自分から変えていこうと思って。
今までは、俺カンパとかしていたから、ミノから避けられて
いたんだよね。でもさ、電話してビリヤードに行ったんだよ。」
「ほう。」
「そうしたら、キー君も呼ぼう、ということになって、
いろいろ話したな。で、ようやく打ち解けられた、
ってわけ。だから、本当に仲良くなったのは、
ここ半年くらいなんだよね。俺、ベルギーに来ちゃったし。」
「ミノもキー君も、ケイタのことを認めてたぞ。
あいつは、でかいって。」
「でもさ、俺も日本にいたときはえらそうなこと言ってたよ。
ベルギーに来たら、つくづくそう感じたね。
こっちでは、日本みたいな仲間がいないから。
本当に俺は、恵まれていたんだな、って思った。」
「それに気づくのは大切だよ。」
「地元では、俺がみんなを引っ張っていっている、
みたいにみんな思っていたところもあったみたいだけど、
実は違うんだよね。単に俺がさびしかっただけで、
みんなと飲みに行ったりしていたんだよ。
だから、みんなに俺が引っ張られていたんだよ。」
「いいところに気づいているじゃん。オトコになったな。
でもな、世の中には動ける人と、動けない人がいるだろ?
おまえは、動ける人のほうだよな。
だから、やっぱりみんなをリードしていかなきゃ、
と思うんだよ。」
「だからさ、日本を出るときにも話したけど、
人に影響を与えられるような、人間的にでかいオトコに
なりたいんだよ。本当はこっち来た時、すぐにでも日本に
帰りたかったんだ。でも、きっと仲間は認めないだろうなって。
それが、今の俺の原動力でもあるんだな。」
「ナカゴメからの手紙に書いてあったんだけど、ケイタはすごいって。
夢があって、それに向かって動けるのがすごいって。
私にはいろいろあって、とてもできないから。」
「そう自覚できるのもナカゴメのいいとこだよね。」
「そうなんだよ。でも、そんな手紙をもらうと、
やっぱり頑張ろうって思うよ。みんなを楽しくさせたいよね。」
「今は日本料理やっているけど、日本に戻ったらイタリアンの
食事を出す、飲み屋をやりたいんだ。ベルギーって、
ビールの数がすごいでしょ?ビールの銘柄の数だけ、
グラスも存在するんだよ。たとえば、フランボワーズっていう
木苺のビールがあるんだけど、お酒が苦手な女の人でも、
これは飲めるんだよ。だから、食材とビールにこだわった、
飲み屋をやりたいね。」
「どんな人がケイタの店に来たら、喜んでくれる?」
「のんびりと、おしゃべりしながら食事や酒を楽しみたい人かな。
結局のところ、俺がいろんな人と触れ合いたいんだよね。
石原君たちと下呂に行ったときにも思ったんだけど、
やっぱりいろんな人がいるんだよ。すごいやつとか。
そんな人とも出会いたいし、いろんな人に喜んでもらいたいし。」
「ヒューマンだな。」
20歳のケイタはかなり具体的に店の構想を話してくれました。
今は、精神的にきついところも多いけど、
目的もって生活していれば、きっとデカクなるな、と実感でき、
私自身も燃えてきましたよ!
その後、「グランプラス」というところに行き、
小便小僧をみて、ミホサンと合流。
で、日本料理をご馳走してくれることに。
「せっかく来てくれたんだから、俺がおごるよ。
日本では世話になったし、こっちではお金つかわないからね。」
ケイタと過ごした時間は、なんと全部ケイタとミホさん持ち。
心遣いがとてもうれしかったなぁ。
「駅までタクシーで行くよ。」
「じゃあ、家の前まで呼びますよ。」
ミホさんにタクシー代までもらっちゃって、
ちょっと恥ずかしい。
「タクシー、ベンツかな?」
「いや、オペルだよ。残念だね。」
2人と握手を交わして、タクシーに。
別れ際にケイタに言った言葉は、
土門さんにいただいたメッセージを。
「想像力という勇気をもって、
世の中をうれしくしていこう。」
さて、予定では21時41分発のロッテルダム行きに乗り、
乗り換えてスキポール空港まで行くはずだったのですが・・・。
ベルギー国鉄、ストライキ突入。
・・・マジかよ・・・?
コメント