ヨーロッパ最終戦

一人旅のススメ
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そもそも列車に乗る前から、様子がおかしかったんです。
ロッテルダムまで行くはずの列車がアントワープ郊外駅
止まりだったし。

MENCHENとかいう駅だったかな?
旗をもって、ハチマキとそろいのスカーフとかベストを
きたおっさんたちが、集団で列車を止めてしまったんですね。

「・・・ストライキくさいぞ。」

オランダ語にフランス語、英語もたいしてわかるわけじゃないので、
彼らの言葉は理解できない。

駅から追い出されて、無料バスでアントワープの郊外駅までは、
行くことができたのですが・・・。

張り紙が駅に張ってあって、オランダ語で「ストライキ」みたいな
ことが書いてあったのです!

このとき時間は、29日の23時20分。
帰りの飛行機が30日の11時50分発なので、あせりが・・・。

「国際列車の止まるアントワープ中央駅ならなんとかなるかも。」

というわけで、チャリンコに乗っていた青年に道を聞き、
歩くことに。

20分強くらい歩いて、アントワープ中央駅へ。
途中トラムの線路上に車が止まっていて、トラムの運転手が
困っていたなぁ。
まったく、ベルギーはいいかげんな国だよなぁ。
でも、労働争議は当然の権利だしなぁ。

とかつぶやきながら、駅に入ろうとすると・・・。

ドアが開かない。そして、張り紙が。
「30日の22時まで、ストライキ」

今度は英語で書いてあったので、理解。
あせり、爆発!

「えーと、空港までは歩いていける距離じゃないはずだから、
これは却下。ヒッチハイク!こんな深夜じゃ難しいだろう。
それに、時間が迫っているのに冒険できない。却下。
飛行機キャンセルして、他の日の便にするか?
電話でやり取りできる自信ないし、宿代に金使うのもなぁ。」

と、いろいろ悩んでいると。

ベンツのタクシーが目に付いたのです。

「ここから、スキポール空港までいくらですか?」
「ちょっとわからないな。」
「なら、ここから一番近いオランダの駅は?」
「ロッテルダムかな。130ユーロくらいだよ。」
「オーケー!いってくれ!」

というわけで、念願のベンツのタクシーに乗ることに。

「クレジット使える?」
「問題ないよ。とりあえず、事務所に行こう。」

タクシー事務所にて。

「明日の9時までにスキポール空港に行きたいんだ。
ロッテルダムから列車は出てるかな。」
「たぶん。でもわからない。ストライキが解決されればね。」

オランダではストライキはやっていなかったのですが、
ベルギー始発の列車がロッテルダムからスキポールに行くなら、
運行されるかわからないんだな、と推測。

「なら、スキポールまで行ってくれる?」
「ちょっと待って。えーと、200ユーロだ。オーケー?」
「問題ないよ。ありがとう!」

必死の英語とジェスチャーで、意思を伝えることに成功!
・・・それにしても、困っている人にはどこの国でも
みな親切だなぁ。

日本でも経験したことないタクシーでのロングドライブ。
しかも、結構いいベンツなので乗り心地最高。
運転手さんがガムを1ケース丸ごとくれたりして、
「悪くない」
と村上龍ばりのセリフで夜のベルギー、オランダを満喫。

結局200キロ弱くらいあったかな。
深夜の2時に無事にスキポール空港に着。
残された手持ちの20ユーロをつかみ、
「少ないけど、ありがとう!」
とチップを渡す。

運転手さんもスキポール空港まで来たのは、
初めてらしく、ちょっとお疲れ気味。

それにしても、良かったなぁ。

ヨーロッパの最終地で、
言語を学ぶことの必要性を痛感できました。

空港のベンチでちょっと寝て、飛行機を待つ。
シンガポール航空の機体と、スチュワーデスさんを
発見して、
「今日の機内食はなんだろう?」
とか、もう緊張感はまるでなし。

最後の最後まで素晴らしい体験をして、
ヨーロッパを離れます。

文化で闘いつづけているヨーロッパの、
陸続きながらも特色を持ちつづけている各国の、
それぞれの志は、なんなのだろう。
「歴史と宗教」。
この2つは彼らの志を発見する為に、
避けて通れないものだと思います。

知らず知らずのうちに、欧米人化している、
アジアに戻って、わかることもあるかもしれませんね。

国として世界で生き残る為に欧米的サービスの最先端を
走るシンガポール。そのフラッグシップ機である、
シンガポール航空でアジアとヨーロッパを往復することを
選んだことは、今考えるととても面白い。

あらゆることはすべてつながっていると、
誰かがいっていたような気がする。
それは、気づこうとした人にしかわからないこと
なのだろう。

この時期にこんな旅をする。
私は気づくことができているか?
その意味を。つながった関係性を。

・・・シンガポール航空の、洗練された機内とサービスの中で、
そんなことを考えていたら、かっこいいのだけれど、
私の興味はひたすら、機内食とスチュワーデスにあったのでした。

オノタカマサ
オノタカマサ

後日談です。手元に当時の写真がなかったので、Googleマップを冒頭に載せました。160キロ超の距離だったようです。コレで200ユーロ+チップ20ユーロの計220ユーロ。このとき、なんだかタクシーがリーズナブルだぞ、と感じたこともあるのか、日本のタクシー料金が高すぎる、と考えるようになりました。ちなみに同じ距離を成田から移動すると箱根あたりまでになるようで、概算で5万円強。当時のレートから考えても、日本のほうが倍高いんです。。。

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